アクションプラン実践の好事例

テーマ: リーダーシップ開発プログラムの改善
国: インドネシア
職位: 人事課長
参加セミナー: 「管理研修プログラム(MTP)インストラクター養成セミナー」
課題:

現在のリーダーシップ開発戦略は、主に技術的スキルとギャップの充足に焦点を当ててきた。このアプローチは有能な人材を確保する一方で、サクセッション・プランニングに必要なリーダーシップ能力に完全に対処できていない

アクションプランの実行と成果:
アクションプラン:

リーダーシップ開発プログラムを拡大し、本質的な管理職研修を実施する。

これにより、効果的なフィールドワークの実施に必要な基本的な管理スキルをリーダーに身につけてもらう

実施概要
  • 社内でフォローアップアクションを確立し、タイムラインを作成する
  • 研修部門と協力し、MTPに基づく基本的な管理職スキルモジュールを作成する
  • プレゼンテーション資料について承認を得る
  • 社内の管理職、また機会があれば会社のグループにもモジュールを配布する
  • 毎回のセッションのフィードバックを確認し、次回のセッションに向けて改善する
  • スケジュールとフォローアップアクションを人事部長に提示
3か月間の実施結果

行動計画を実施した後、私はトレーニングの目的と全体的な育成目標に沿った詳細なスケジュールを作成することに成功した。トレーニング・モジュールについては、トレーニング・マネージャーと話し合ったことに加え、人事部長にも意見を求めた。彼らのフィードバックは、組織の戦略的優先事項と参加者の能力開発ニーズの両方を満たすように内容を改良する上で非常に貴重なものであった。このような協力的なアプローチにより、研修の構成が明確になっただけでなく、会社の幅広い目標との整合性も強化され、インパクトのある好評なセッションの舞台が整った。

参加者からのコメント

行動計画を実行する際に直面した困難のひとつは、トレーニング・モジュールの開発と提供のスケジュールだった。当初は、第4四半期までにモジュールを完成させ、今年中にトレーニング・セッションを実施することを目指していた。しかし、人事部長とさらに話し合った結果、これらの取り組みは今年度の部門の優先事項には含まれていないことがわかった。その結果、スケジュールを調整し、トレーニングは次の四半期に予定されることになった。

 

テーマ: 職場環境においての改善策実施による従業員の作業安全性の向上
国: カンボジア
職位: 人事総務部副部長
参加セミナー: 「使用者のための職場環境改善セミナー」
課題:

職場環境行動計画を実施する前に、以下のような課題があった。

  • 時間的な制約:多くのプロジェクトが進行中なため、焦点を当てる時間を区切る必要がある。
  •  経営陣は、職場改善計画のための職場行動チェックリストではなく、他のことに重点を置くかもしれない。
  • マンパワーの問題: 作業によっては、より迅速かつ予定通りに完全に実施するために人手が必要なものもある
アクションプランの実行と成果:

行動計画の概要:

  •  職場行動チェックリスト(Workplace Action Checklist: WAC)を開始し、チーム内で実施する。
  •  WACを最後まで実施する。
  •  職場改善計画を作成し、1件ずつ実行する。

 

行動計画と活動の実施後、従業員の声が反映された多くの改善がなされた為、チームと従業員は関係性が良くなり、職場に対してより前向きな気持ちになっていると感じる。

<顧客情報ファイルの機密性の取り扱い>

  • 顧客情報資料ファイルは扉の無い棚にそのまま置かれていたが、機密性を高めるため扉を取り付けた棚内に見えないように保管をするようにした。

<職場内における配線コードの取り扱い・改善>

  • テーブル下段部分のケーブルの乱雑さをまとめた。

<職場内天井照明の改善> 

  • 以前はスポットライトを使用していたが、従業員の目の不快解消の為ダウンライトを追加した。節電も図ることができた。

<机下にパーティションを設置>

  • 通常従業員が机の下に荷物を置いており、事務所が片付いていないイメージがあるためパーティションを設置し計40ドルと低コストで対応できた。

<電気配線ケーブルと安全性の改善>

  • 壁にむき出しのままにされていた複数の電気配線ケーブルをまとめ、さらに上からカバーをかけて安全性を改善した。

 

テーマ: 従業員のエンゲージメントとモチベーション
国: インドネシア
職位: HRビジネスパートナー
参加セミナー: 「経営幹部のための労使関係・人事労務管理セミナー」
課題:

1. 多世代の従業員との調和のとれた労使関係

Y世代とZ世代の従業員の多様なニーズと期待に対応しつつ、協調性を育み、彼らの目標と会社の目標を一致させることが困難。

2. 人事部門におけるデジタルトランスフォーメーション

デジタルトランスフォーメーションを効果的に活用するための実践的なアイデアやツールが不足しており、人事の効率化とプロセスの合理化が妨げられている。

3. 人事部門と従業員との効果的なコミュニケーション

会社の目標や戦略を従業員に明確に伝えることが難しく、しばしばズレやエンゲージメントの低下、変化への抵抗につながっている。

アクションプランの実行と成果:

アクションプランは具体的な時間枠を設けて策定した。

<ナレッジ・シェアリング・セッションの実施(2週間)>

改善のための詳細なフレームワークを作成することで、組織プロセスを強化することに重点を置いた。これにはHR部門との協力が必要で、効果的に実施するためのモジュールとプロジェクト・スケジュールの準備が必要だった。

<具体的な業務改善(2か月)>

人事チームと業務チームが協力して、既存の標準業務手順書(SOP)を見直し、業務効率を高めるための変革とデジタル化の戦略を提案した。これをサポートするために、チェックリスト・ワークシートやトレーニング&ディベロップメントに関する包括的な提案書などのリソースが準備された。

さらに、組織強化のための具体的なアクションプランもいくつか実施された。これには、従業員エンゲージメントを向上させるためのHRトーク・セッションや、透明性と説明責任を促進するための内部告発プログラムなどのイニシアチブの立ち上げが含まれる。

また、5S手法を使って職場の整理整頓と効率化を推進するため、5S委員会も設立された。これらの取り組みにより、より調和のとれた、効率的で透明性の高い職場文化を創造することを目指した。

アクションプランを実施した結果、いくつかの好結果が得られた。

1. 組織の効率性の向上

知識共有セッションと詳細なフレームワークの開発により、組織改善へのアプローチが構造化された。これにより、人事部門と他部門との連携と調整が改善され、全体的な業務効率が向上した。

2. 人事部門におけるデジタルトランスフォーメーションの成功例

トランスフォーメーションとデジタル化の提案は、より合理的なプロセスの採用につながった。これにより、手作業が減り、データ主導の意思決定が促進され、効率が向上した。一部の従業員は、この取り組みの中で導入された新しいシステムやプロセスを採用することに消極的だったため、利点の説明とトレーニングを追加した。導入段階で明確なコミュニケーションとトレーニングが行われたため、従業員は変化にうまく適応した。

3. 従業員のエンゲージメントと透明性の向上

HRトーク・セッションは従業員間のオープンなコミュニケーションの場となり、年齢層によって考え方やコミュニケーションの方法が異なることが明らかになった。全員の期待に応え、全従業員がその一員であると感じられるようにするのは容易ではなかったが、従業員がそれぞれの懸念を表明することができ、世代間の違いを理解し、会社の目標をよりよく理解することができるようになった。さらに、内部告発プログラムの実施は、組織内の透明性と説明責任を向上させ、信頼感を高める効果があった。

4. 5S委員会による職場組織の改善

5S委員会の設立により、職場環境がより良いものとなった。途中、従業員のモチベーション維持と一貫性の保持が難しくなったため、定期的な注意喚起を行った。その結果、従業員はこの手法を受け入れ、より清潔で、より効率的で、より安全な職場環境を実現した。また、チーム全体の士気と生産性も向上した。

5. 企業目標との一致

効果的なコミュニケーション戦略とエンゲージメント・イニシアチブは、従業員が会社の目標を理解し、受け入れることを確実にした。このような連携により、組織戦略がよりよく実行され、全体的な業績が向上した。

 

テーマ: メンタルヘルスと安全性における職場環境改善
国: バングラデシュ
職位: 人事マネージャー
参加セミナー: 「労使関係・人事労務管理セミナー」
課題:

アクションプランの実施につき、下記の点において困難に直面した

1. 職場環境改善に向けたイベントの開催に経営陣の理解と承認を得る事。

2. より良い職場環境を提供するため作業場のレイアウトや機材の設置場所について若手社員の理解や協力を得る事。

3. 満足度調査において、従業員が積極的に意見を述べようとしなかった。

アクションプランの実行と成果:
アクションプランの実施内容

1. 職場環境改善のためのセミフォーマルなイベント開催

より良い職場環境を構築するため、レクリエーションと精神的ストレスの軽減を目的とした従業員の定期的な集いを企画し、所属部門長とオペレーション内エグゼクティブディレクターに共有し、経営陣にプレゼンを行った。常務取締役の承認を得て、朝軽食付きのセミフォーマルな集会を企画し、チームメイトと各部門のマネージャーの協力を得て、管理職の社員全員を対象とした会を社内にて開催した。

2. 作業エリアのレイアウト変更と資材の整理整頓

社内の特に作業場、店舗、オフィスのデスクは整理されておらず、それぞれの作業エリアのレイアウトは効率的に設計されていない。職場環境改善のため、主要な作業エリアと工具の設置場所のレイアウトを変更した。エンジニアの作業場の資材は5Sに従い整理整頓され、室内には必要なものだけを置き、それ以外のものは持ち出した。また適切なラベルやサインを貼るなど改善作業が進められ、すべての資材が整理整頓された状態を維持できるようにした。2025年以内に組織全体でこの計画が実施できることを目標としている。

3. 満足度調査の実施

従業員の中で幾つか大きな不満があったが、経営陣へのそれに関する公式的な報告は皆無であった。従業員のメンタルヘルスと不満の要因を知るために、今年から満足度調査を開始し、2年に1度の頻度で調査を継続したいと考えている。この調査を行うことで従業員と会社の間に忠誠心と対等なパートナー関係を築くための適切な行動が提案できる事を目標としている。経営陣のアドバイスに従い、無作為に選ばれた100人の従業員を対象に、職場環境、同僚との協力関係、上司の態度、部署間の協力、職場の安全性、給与と福利厚生に関する従業員満足度調査を実施した。

3か月間の実施結果

1. 職場環境改善のためのセミフォーマルなイベント開催

従業員からは非常に高評価で毎朝午前9時30分に集会の開催を継続している。この取組みには好意的なフィードバックが寄せられ、従業員の就業中のストレス軽減の効果を得られた初めての取組みとなった。

2. 作業エリアのレイアウト変更と資材の整理整頓

まだ開始したばかりの為、これから組織全体で継続して実施していきたい。実施後の作業エリアは従業員に非常に好評で、効率的な職場行動を推進することにより生産性が向上している事がすでに確認できている。

3. 満足度調査の実施

調査の結果は以下の通りとなった。

Description Excellent Good Fair Unfair Total
Working Environment 78 12 5 5 100
Co-operation among Colleagues 60 14 21 5 100
Attitude of Supervisors 54 26 12 8 100
Interdepartmental Cooperation 48 22 16 4 100
Workplace Safety 33 35 22 10 100
Salary & Benefits 0 55 45 0 100

無作為に選んだ100人の従業員にインタビューを行ったところ、次のような不満が最も顕著であることが分かった。これらの不満は、従業員の離職率を徐々に増加させている主な原因である。

1. 仕事のプレッシャーに比して給与や福利厚生が不十分である。
2. 部署間におけるボーナスの格差。
3. 昇進の遅れ(ほとんどの場合、成果ベースではなく時間ベースである)
4. 経営トップによる従業員の認識の欠如。
5. 変動給制度の現状(昨年より判明)
6. キャリアアップ(シニアエグゼクティブからマネージャ)
7. 継続のモチベーションの欠如。
8. 雇用の安定性が低い。

問題について経営陣と協議し、適切な評価と対策を講じている。