『将来的にはバルカン地域を超えて世界に事業を拡大したい』~マケドニアのスポーツ用品販売会社社長に聞く (1/2)
2017年9月22日(金)10:00
(Macedonia/マケドニア)
※本記事は2回に分けて掲載します。
本記事は第1話の掲載分です。
<第2話はこちら>
Sport Vision Dooel Skopje
Mr. Igor Trpkovski (General Manager)
Macedonia
AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
今回、バルカン地域においてスポーツ用品を製造販売する企業の社長にお話しをうかがいました。
-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
-会社を経営していく上で、どのような事を特に大切にされていますか。理念や方針など、大切にしていることを教えて下さい。
-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?
現在我々はバルカン地域で活動する企業から発展し、国際的企業としての評価を得ることをめざしていますが、その道筋では2つの点で指導的地位にあるマネージャーが重要です。はじめに、マネージャーは国際的な事業計画を実施し、最も有効な事業のやり方を企業内に広め、企業本部の文化とバルカン地域内の異なった国に広く展開する子会社の文化とを統一していくことが期待されています。次に、経営のプロセスや手法を子会社のあるそれぞれの国の文化の特徴にあわせていく必要もあります。この2点を実現するためには、マネージャーは国際的な力学と国内的・地域的な力学の双方を反映した異文化間に発生する無数の要因に対し、当社が適切に対応していけるような深い知識を獲得していかなければなりません。この場合、豊富な知識を持ち、戦略的にローカライズされたマネージャーが地域的に拡散した調達・生産・販売のプロセスを統合するという難しい課題に挑戦しつつ、グローバルとローカルの間の相互作用に対応していくことになります。
国際的企業の子会社が地理的に離れた本部から直接トップダウン式で管理・監督されるときには、小売企業を経営する上でのダイナミクスと恒常的な時間不足のため、時折、特定の決定や行動のすべての側面や、そうした決定や行動がどのような結果を引き起こすかを予想することが難しくなります。この場合、地元スタッフの知見が最も重要であり、必ず考慮されるべきものです。ここで、各国子会社のマネージャーと彼らの能力が焦点となってきます。彼らはすべてのステークホルダーの利益を考慮し、細心の注意を払って当社全体のグローバルな戦略と子会社の地域的かつ短期的なパフォーマンスのバランスをとりながら、責任をもって特定の経営行動を進めるか否かを決定する必要があります。有名な「プリンシパル=エージェント理論」はまさにこうした状況を描写しています。モラルハザードおよび本部と子会社の利益対立が引き起こす問題により、莫大なコストが発生する可能性があるという状況です。ただ、短期的なパフォーマンス指標においてどのような問題が発生したとしても、当社の高次の利益が最優先されるべきものだと考えています。繰り返しになりますが、マネージャーはグローバルな本部とローカルな子会社の間で短期的・長期的な利益をめぐって発生する軋轢を緩和する方法を見つけなければなりません。
日本企業も海外で事業を展開するにあたり、このような本部と現地子会社の間のジレンマを経験したものと思います。もし適切に言語、ビジネス倫理や文化の特色・違いを扱うことができなければ、それらは国際的なビジネスの運営に大きな負担となるでしょう。
基本的な必須条件は、多文化に親しんだマネージャーとなりうる人材を見つけ、昇進させていくことです。彼らは競争の激しい海外市場に挑戦していくための、国境を越えた事業をうまく操縦していける、必要不可欠な経済的エージェントです。こうした世界で勝負していける経営陣は、グローバルな統合とローカルな要素への対処のバランスを取るという国際的な挑戦に適切に対処していかなくてはなりません。プロフェッショナルとして、彼らは高いレベルの経営的、技術的、また革新的な経験を有し、常にゴールを念頭におきながらそこに向かうペースを整えていく存在です。つまり、経営の鍵となるのは人材です。企業が新しい市場で成功を収めることができるかどうかは、適切な戦略の有無だけでなく、実際の経営の実行と方針の現実化にかかっているのです。
※本記事は2回に分けて掲載します。
本記事は第1話の掲載分です。
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