『薄くしなやかでかつ丈夫なエチオピアの羊革に惚れ込んだ』 ~エチオピアに進出した日本の皮革製品製造・販売企業経営陣に聞く~
2017年7月14日(金)10:00
(Japan/日本)
株式会社ヒロキ会長 西岡 正樹 様
同社長 権田 浩幸 様
北京福創服飾有限公司董事長 栗山 勝徳 様
株式会社ヒロキ(本社:神奈川県横浜市)は1960年に設立され、皮革・毛皮衣料・服飾・バッグ・財布・革小物等、オリジナルブランドのデザイン製造・販売及び同商品の輸入・販売等を事業とされています。2014年には日本企業として初めて、エチオピアに現地法人Hiroki Addis Manufacturing S.C.を設立されました。同社は現地法人設立後、AOTSの専門家派遣制度を用い、これまでに数人の専門家を現地従業員のトレーニングのため派遣されています。また、2016年度には日本人の専門家より指導を受けた、現地法人バッグ製作チームのチームリーダーがAOTSの経営者向け研修プログラムに参加されました。
今回、同社がエチオピアに進出された経緯、課題、AOTSの制度利用、また経営者向け研修プログラムに参加されたチームリーダーについて、お話しをうかがいました。
エチオピア現地法人バッグ製作チームリーダーのインタビュー記事はこちら>>>
-日系企業として初めてエチオピアに現地法人Hiroki Addis Manufacturing S.C.を設立するにあたり、パイオニアとして困難も多かったかと思いますが、よろしければアフリカ、中でもエチオピアに進出することを決めた理由、経緯をお聞かせください。
-エチオピアに現地法人を設立し、エチオピア人を雇用していらっしゃいますが、これまでに何かエチオピア人の特徴としてお気づきの点はありますか。
-エチオピア現地法人の立ち上げ時より、貴社にはAOTSの専門家派遣制度をご利用いただいております。よろしければ専門家派遣制度に対するご感想をお聞かせください。
権田社長:専門家派遣制度の利用は今年度で4年目になります。これまで当社より、制度を通じて3名の専門家をエチオピア人従業員指導のために派遣しました。エチオピア現地法人を軌道にのせるにあたり、とても助けられています。我々は中小企業で、大企業のように経営資源に恵まれておりませんので、もしこのような制度がなければ、当社が独自に現地従業員を指導する人材をエチオピアに派遣することは不可能だったでしょう。専門家派遣制度は、現地従業員へ技術を伝え人材育成を行う上で非常に大きなサポートとなっています。
-このたび貴社エチオピア法人からDaniel Mulugeta W. Meskel (以下ダニエル)さんがAOTSプログラム(アフリカものづくり管理研修コース、AFPM)に参加してくださいました。ご本人とプログラム終了後お会いになったと伺いましたが、どのような印象をお持ちになりましたか。
権田社長:今までも素直な性格で、教えたことの吸収も早い人物と思っていましたが、より日本の物づくり精神を理解してくれたような印象を持ちました。もともと、やる気に満ち、何を期待されているかをよく理解して期待に応えようとする人材です。プログラム期間中に横浜元町にある本店を2度ほど訪れる機会があり、その際に自ら責任をもって作り上げた製品が店頭に並んでいる様子を見たことで、よりモチベーションが高まったようです。
-AOTSでの研修に参加したダニエルさんに対し、どのような期待をなさっているかお聞かせください。
西岡会長:ダニエルから、「エチオピア人は自らが得た知識を他者に伝えようとしない。なぜなら教えてしまうと教えた側と教えられた側が同じレベルになってしまうからですが、これについて日本人の目から見てどう思いますか」、という質問を受けましたので、私からは、「サッカーや野球などのチームプレーではチームの皆が上手になるから試合に勝てる。もし一人だけずば抜けたプレーヤーがいても勝てるとは限らない。自分の知識や経験を共有して皆のレベルを上げるのが、良いチームのキャプテンであり、そのようなキャプテンになってほしい」と伝えました。彼は実際に他の従業員に得た知識や経験を伝える立場ですので、こうした質問が出たこと自体、彼の成長の証だと思います。
権田社長:日本で実際に見たこと、学んだことを他の従業員に伝達してほしいと伝えました。本人もカイゼン等、今まで知識としては知っていた内容を実際に目の当たりにし、心境の変化があったようですので、それが他の従業員に波及してくれればと考えています。