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『社員は企業の最大の財産』 ~ミャンマーの輸入美容製品販売会社社社長に聞く
2017年10月13日(金)10:00
(Myanmar/ミャンマー)
New Link Marketing Ltd.
Ms. Thida Thant (Managing Director)
Myanmar
AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
今回、ミャンマーにおいて輸入美容製品の代理販売を行う企業の社長にお話しをうかがいました。
有名な海外ブランドの化粧品を輸入販売
New Link Marketing Ltd.は、1996年に設立された輸入美容製品のマーケティング・販売会社です。現在では総勢500人の従業員を擁する企業に成長しました。当社は、アメリカのRevlonやKimberly Clark、他にもタイ、日本、マレーシア、インドネシア、中国、フランスなどから有名海外ブランド化粧品、美容用品、日用品を輸入し代理販売しております。年間売上高は、約9百万から1千万USドルです。
私が、シンガポール在住の仲間と共に当社を設立したのは、自分に挑戦をしたかったからです。幼い頃、父の仕事の関係で家族と共に世界中のあちらこちらに移り住みました。この経験が、新しい環境に馴染みやすい私の性格を形成したのでしょう。
真摯さ、透明性、製品の品質と一貫したサービス
真摯さ、透明性、製品の品質と一貫したサービスは、企業経営をする上で最も重要な要素であると考えます。全従業員のモチベーションをあげるためには、楽しく健全な職場環境をつくらなければなりません。当社では、ひとつのブランドに対し、ひとつの部署が専属で対応しています。ブランドごとに各々の販売政策や目標があるため、当社では部署ごとに達成すべき目標が異なり、それらを達成した際には特別手当が用意されています。
また当社の営業は、日常的に訪問する専属エリアを設けており、良質な製品とサービスを提供するため常にマーケットに密着しています。
直面する課題
第一に今日ではマーケットシェアの獲得がより過熱しているため、持続可能なビジネスの開発は課題です。第二に、優秀な社員の確保と適切な役職への配置、第三にコストの増加も問題です。販売・マーケティング予算は、競争が激しいほど上がりますし、また、社員が期待する給与水準が上昇すれば管理コストも増加します。
成長する市場の規模と動向に合わせて、我々の事業も拡大させる必要があるのです。
人生は一生学び。学びの環境を社員に提供し続ける
会社が直面する課題を解決するためには、まず社員に対し、研修など学びの環境を提供し続けることが必要であると思います。当社の社員は、非常に重要な複数の研修を受けています。売上げばかりにとらわれるのではなく、人材の育成は大切です。メイクアップ研修やカスタマーサービス研修のような典型的なものの他に、倫理研修を受けさせることで誠実で信頼のおける社員の育成を目指しています。
中長期的には、知識、技術、ビジョンの向上とアップグレードを目的とする幅広い人材育成プログラムを取り入れたいと思っております。これは、様々な研修、知識共有、激励など全てを含めたものです。会社にとって社員とは最も価値ある財産です。私は、社員が習得した知識を行動に移せるようサポートしたいと思っています。これが私の最大の乗り越えるべき課題なのです。
海外市場への展望
現在、我々はミャンマー国内以外にも、日本企業(王子ホールディングス)を含む海外のサプライヤー数社と取引を行っています。王子ホールディングス社とは、“Genki”という紙おむつを代理販売しており、取引を開始してから1年半になります。
海外へのビジネス拡大を成功に導くために
事業を拡大するにあたり機会さえあれば、いかなる国のパートナーでも歓迎です。我々は、クオリティーの良い手頃な価格の製品を探しています。
海外ビジネスを成功させるためには、オペレーショナル・エクセレンスを保ち競争上の優位性を高めることが鍵となると思います。1996年、ミャンマーははまだ閉鎖された国で、海外企業との取引は非常に困難でした。しかし、そのような状況で私がこの会社を立ち上げ事業を開始することが出来たのは、シンガポールで会社を経営するビジネスパートナーである仲間がいたからです。彼のおかげで、当社の取引業務を容易に行うことが出来たのです。
現在、美容用品市場には多くの競合者が存在するため、我々は先発者という立場に胡坐をかいてはいけません。常に新しい物に目を向け、市場競争で上位に立つため挑戦し続けることが、顧客に優良なサービスを提供する上では必要となるのです。
現在のミャンマー美容市場
ミャンマーにおける美容業界は、新しく切り開かれたばかりです。1996年では我々は先発者でしたが、現在は多くの競合者がより多くのシェアを獲得しようと戦っています。現在当社は、mass(大量販売で買いやすい値段)とprestige(高級感のあるブランド品)という意味をあわせ持ったmasstige(マスティージ)製品を扱っております。そしてライフスタイルの近代化に合わせて、当社は新しくプレミアム階級に参入をいたしました。海外旅行に行く人々が増加する昨今、ミャンマーにおいても有名な海外輸入ブランドのハイクオリティーな製品に対する需要は急増しています。これは、美容製品に関しては特に言えると思います。
ミャンマー人と日本人の違い
一般的に言うと、ミャンマーの文化はビジネス習慣に影響を与えていると思います。ミャンマーの人々は、比較的受動的で、楽しいこと好きで、従順です。忍耐、根気、時間管理、継続などの維持が苦手で、大雑把です。これは、日本人の仕事仲間と比較した私なりの見解です。
日本や日本の企業の印象
私は今回初めて日本を訪れました。年齢を問わず様々な日本の人々から受けた最高のおもてなしとサービスには、深く感動いたしました。日本の企業に関しても、EPCMプログラムで訪問したトヨタの堤工場などで見た現場改善、ジャストインタイム、自働化などの素晴らしい実践例業務にも、非常に意欲をかき立てられヒントを与えてもらいました。また、東海部品工業の社長の非常に謙虚なお人柄やオムロン京都太陽の業務運営にも大変感銘を受けました。
ありがとうございました。