経営者インタビュー

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『従業員と手を携えて共に当社を成長させていきたい』 ~ミャンマーの旅行会社社長に聞く (2/2)

2017年5月19日(金)10:00

(Myanmar/ミャンマー)

 

※本記事は2回に分けて掲載します。
  本記事は第2話の掲載分です。
  <第1話はこちら>

 

Nature Sunshine Travel & Tours
Ms. Min Min Myitzu (Managing Director)
Myanmar

 

HIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

 

今回、ミャンマーで旅行手配やMICEアレンジメントを提供する旅行会社の社長にお話しをうかがいました。

 

 

-貴社ビジネスが属する、自国におけるマーケットの状況について教えてください。

 
2014年から2015年頃に急成長が始まって以来、ミャンマーの観光業の市場環境はとてもダイナミックです。この数年の間に、より多くの企業が設立され、雇用機会が増大し、またミャンマー人の旅行に使うことのできる可処分所得も増加しました。それにより、まず需要について考えた場合、より多くのミャンマー人が旅行を楽しむようになり、国内旅行者数、海外旅行者数がともに増加を続けています。かつては旅行といえば、バガンのような仏教の聖地へ巡礼の旅を行うことが主でした。バガンはミャンマーにおいて、かつて多くの寺院を擁し仏教の中心地として栄えた街です。しかし、今日では、美しいビーチを訪ねリラックスするような、レジャーとしての旅を楽しむ人が増えてきています。ミャンマーにはたくさんのこうしたリゾート地があり、そうしたリゾート地は新しい観光地としてより多くの観光客を惹きつけています。
 
さらに、医療ツアーのような海外への旅の人気も高まりつつあります。医療ツアーについては、病院が自ら医療ツアーの中心である治療の部分を手配するエージェンシーを抱えていますので、当社は通常、宿泊先とフライトのみを手配します。ただ、もしこうした医療ツアー参加者が例えばサイドトリップを楽しみたいとお考えであれば、もちろん喜んで手配いたします。
 
ミャンマー人の旅行者数が飛躍的に増加した理由としては、文化の変化およびミャンマー人の可処分所得の向上が挙げられると思います。また、以前に比べ交通機関が改善されたことも影響していると考えられます。国内旅行についていえば、ミャンマー国内のインフラ整備にともない、旅での移動にかかる時間が短縮され、旅行者はより多くの地域にアクセスできるようになりました。また、海外旅行については、例えば以前は日本へ旅をしようと思うと飛行機の乗り換えが必要でしたが、現在では成田-ヤンゴン間を直行便が就航しています。これにより旅行にかかる時間が短縮され価格も下がり、ミャンマーの人々にとって、海外旅行がより手が届きやすいものとなりました。
 
ただ、海外旅行者のミャンマーへのインバウンドという点では、昨年に比べ旅行者数が減少しています。
 
供給の側面に目を移すと、観光業の発展の可能性を鑑みて多くの旅行会社が国内で次々に設立され、すべての側面において競争がより激しくなっています。外国の旅行会社もミャンマーの観光業に関係していますが、それらの企業は主に外国人のミャンマーへの旅行事業に的を絞っています。
 
ミャンマーの地元旅行会社は、週末に短い旅行を楽しむ若年層や中年層をターゲットとして、様々な日帰り旅行プランを提供しています。こうした企業は様々なやり方で宣伝を行い、団体割引を提供し、自らの事業を発展させようとしています。諸外国と比較すると、広告宣伝媒体として、テレビコマーシャルはあまり一般的ではありません。それよりも旅行会社は主に街中でのポスター掲示やチラシの配布等によって宣伝を行う傾向がありますが、中でも最も重要なメディアはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)です。ミャンマーではPCを使わない人もスマートフォンを利用しています。スマートフォン利用者の中では特にフェイスブックの人気が非常に高く、80%程度のミャンマー人はフェイスブックを使い、写真の投稿や情報交換を行っています。そのため、フェイスブックのようなSNSへの広告掲載には大きな集客効果が見込めます。

-日本を含め、他国と自国における商慣習には違いがあると思います。自国での働き方に関する考え方、業務文化、国民性など、他国との際立った違いがあればご紹介ください。

 

ミャンマーは現金中心の社会です。ビジネスの領域においても決裁はカードより現金で行われます。カードの使用はまだ導入の段階にありますが、時間と労力を削減するため、これから我々はカードやオンライン支払システムを発展させていく必要があると思います。
 
多くのミャンマー人は穏やかで優しいという特徴があります。ミャンマーのビジネス社会と強力なネットワークを築き、かつ様々な産業団体に参加することにより、商取引の機会を増やすことができるでしょう。ミャンマー人のほとんどが他者のリクエストに対して「ノー」と言うことに抵抗を感じる傾向がありますが、「イエス」と答えたとしても実際には要望に応えることができず相手に迷惑をかけてしまうことがあります。時間の感覚については、約半数のミャンマー人にとって、時間厳守は難しいと思います。
 

-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?

 

人材育成のために当社が行っている取り組みは以下の通りです。

  • 従業員が彼らのタスクを効率的、かつ効果的に行うために必要な十分な知識と情報を得られるよう、トレーニングと能力向上に重点を置くこと
  • 明確な人事考課制度を策定し、従業員皆がそれを理解できるようにすること
  • 状況に応じたルールの柔軟な適用を担保すること
  • モチベーションを高めるための報奨制度を導入すること

 

効率的な人材育成のために、従業員には様々なトレーニングコースに参加してもらうようにしています。ヤンゴンにはミャンマー観光省や旅行業界団体、また民間企業が運営している旅行業界の従業員向けのトレーニングセンターがいくつも存在し、スキルアップのためのおもに2か月程度の期間のコースを提供しています。現在、当社からは1名がチケッティングを学ぶコースに参加しています。このような、旅行業界に身をおくプロフェッショナルとしてのスキルだけでなく、英語能力も非常に重要だと考えています。英語のトレーニングコースも数多く提供されていますので、若い従業員にこうした英語コースに参加してもらうことを検討しています。社内ではOJTに重点を置いており、シニアマネージャーが後輩を指導し育てています。

 

-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。

 

日本は東京という大都会を擁する、とても発展した国という印象を受けました。日本人は落ち着いていて礼儀正しく、親切でフレンドリーでした。

 

日本企業については、今回の訪日で日本企業の成功の重要な秘訣に気づくことができました。従業員同士の相互尊重、企業が従業員を最も価値の高い資産とみなす考え方、素晴らしい企業理念と経営方針、継続的な発展のためのカイゼンの実践、工場やオフィスを綺麗に保つ5Sの実践、時間厳守の徹底等が、日本企業を成功に導いたと思います。今では日本はICTや電機産業で世界的に見て主導的な役割を果たしています。

 

日本でのコース期間中、多くの座学や企業見学を行うとともに、自ら色々な場所をめぐり、様々な経験をいたしましたが、特に印象的だったのは、見学先の一つであったトヨタ自動車の工場と、自由時間に訪れた富士山です。

 

トヨタ自動車の工場においては、組立ラインにおける従業員の働き方、ジャストインタイム、トータル品質マネジメントツールを用いた品質管理、5S、カイゼンの実践を見学する機会に恵まれました。こうした実践は私がかつて経済学を学んでいた際に勉強していた理論を想起させるもので、理論が現実に行われている様子を見ることにより、私の頭の中で机上の理論と現実世界での実践の間がしっかり繋がったと感じました。とても素晴らしい体験だったと思います。

 

もう一点、私が日本滞在中に魅せられたのは、富士山の美しさです。コース期間中の週末、私の参加したコース(ミャンマー企業経営研修コース: MYCM)の研修生全員で、日本の象徴であるこの山を訪れました。これまでに富士山の写真を見たことはありましたが、実際に目の前にすると、写真とは本当に違っていると感じました。写真も動画も、富士山の優雅で美しいたたずまいを完璧に描写することは不可能だと思います。山頂に雪を頂く富士山が太陽の光に包まれるさまは、本当に素晴らしい景色でした。研修生皆がたくさんの写真やビデオを撮影し、この様子を記録しようとしましたが、この景色は心に焼き付けておくのが一番よいと感じました。私はそれを生涯忘れることはないでしょう。

ご協力ありがとうございました。

 

※本記事は2回に分けて掲載します。
  本記事は第2話の掲載分です。
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