『企業経営において、我々が特に重点を置いている“戦略計画”』 ~スーダンの食肉加工製品等製造会社社長に聞く
2017年1月16日(月)09:10
(Sudan/スーダン)
Eltinay Food Industries (Alarabi)
Mr. Ashraf Tarig Elsir Omer (General Manager)
Sudan
HIDAが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
今回、スーダンで食肉加工製品等の製造を手がける企業を営む参加者にお話しをうかがいました。
-まず初めに、御社の会社概要についてご紹介ください。
戦略計画では、どの段階においても計画する側は、“ここに到達するために、前段階で何をすべきなのか”と問いかけます。
-自社事業を更に発展・成長して行く上で、成長の妨げとなっている課題はありますか?またその“課題”に対し、どのような手を打つべきとお考えですか?
-現在の海外ビジネス展開状況を教えてください。
当社は現在、スーダン国内のみで事業を行っています。しかし私は、ビジネスの現状、特に食肉分野においては、以下について知っていれば、今後も世界的に期待できるものと信じています。
1億頭もの動物の供給増加に伴い、牛、羊、ヤギやラクダといった家畜の大量入手の可能性。
スーダン国内および海外市場、とりわけアラブ湾岸諸国やエジプトにおける食肉製品や、生け贄用の羊の需要の増加見込み。
-今後、更なる海外ビジネス展開をお考えですか?また海外ビジネス展開を成功に導くために、貴社が大切にしている事、重視したい事は何でしょうか?
そうですね、我々は当社の輸出開発部の力を活用して、特にエジプトや湾岸諸国といった海外への展開を計画しています。健全な海外展開をしていくためには、スーダンにおける更なる発展が必要な畜産や生産システムを重視していく必要があります。また、食肉処理業者が関わる追加の生産段階や、食肉加工・パッケージのための工場についても言えると思います。
“Alarabi”のブランド名で知られる当社は、スーダンでトップクラスの評判の良い食肉加工工場の一つです。それは、当社製品の品質とスーダン国内の大部分の都市を網羅する幅広い流通網、よく訓練された従業員、当社が行う各種CSR活動、最終生産物の継続的開発、その他多くの要因によるものです。これら全てが、“Alarabi”ブランドを同市場における主導者へとしています。当社は、約22%のマーケットシェアを有している三番目に大きな企業です。そしてこの状況が、同市場への新規参入者にとってはきびしい障壁となっているのだろうと思います。
-自社人材を育成していく上で、どのような点に注意を払って取り組んでいますか?
自社の人材育成のために私は、主に研修プログラムとロイヤルティ・スキームを行っています。
スーダンのひどい経済によってもたらされる高い離職率が、当社が現在直面している主な課題の一つです。よく訓練された熟練した従業員のほとんどが、とりわけカタールやサウジアラビア、アラブ首長国連邦といった裕福な産油国への移住に目を向けているのです。それが業界に不安や混乱をもたらし、当社が手がける研修費用を押し上げ続けているのです。それゆえ、当社における熟練した従業員をつなぎとめるように、ロイヤルティ・スキームを導入し、毎年、給与を増やし、従業員のニーズを満足させるために福利厚生を高めています。
-最後に、日本や日本企業についてどのような印象をお持ちでしょうか。日本に来て驚いた事、感動したこと等ありましたら教えてください。
私は、地理で日本について学ぶ前の若いときから、日本は素晴らし国であると知っていました。それは旧式のソニーの木製テレビセットや、当時家にあった他の多くの美しい装置によるもので、これらは全て日本製でした。そのため、私は若いころから日本は素晴らしい国であるにちがいないと感じていました。
そして今日、私の古い認識は決して変わっていません。それどころかむしろ、この2016年の終わりの初来日により、その認識は強まりました。それによって、日本人がどれくらい謙虚であり、寛大で、かつ敬意の念を持ち、そして親切で素直であるかを知ることができました。さらに私は、日本の素晴らしいインフラや、他の国では見たことのない、言葉では言い表せないほどの鉄道網に魅了されました。そして一言でいえば、日本は今では、私の最も大好きな国の一つとなりました。
また日本企業について言えば、“極めて優れている”の一語に尽きます。それは、日本企業の従業員に対する素晴らしい配慮、最新の理論や技術を応用して行われる改善に向けた絶え間ない意欲、世界規模で進出している日本の製品やサービス、そして他の海外企業と比べて日本企業の巨額な年次売上収益といった様々な理由によるものです。
バス乗車時に、どの乗客に対しても運転手が行った敬意あるお辞儀の挨拶方法や、お詫びするしぐさ、元気あふれる“ありがとう”の言葉から、先を急いでいた日本人が、「知りません」または「今は助けられません」と言う代わりに、知っている英語を使って私を案内して説明してくれたことまで、信じられないほど楽しいときを多く経験することができました。
これら全ての出来事や、特に地下鉄で遭遇したおばあさんの話は、私が日本で経験した特に素晴らしい思い出です。電車の中で、おばあさんが席に着いていましたが、その席のすぐ前に別の年配の女性が立っていました。その方は新聞を手に持ち、乗車の間、新聞を読んでいました。その席に座っていたおばあさんは、目の前の方が読んでいる新聞が自分に当たりそうで困っていましたが、その方に何も言わず、または新聞を払いのけることは決してしませんでした。おばあさんがしたことは、席に着いている間中、顔に手を添えて新聞があたらないようにしただけです。私はその出来事にとても感動し、注目して見ていました。
素晴らしい国、日本での私の経験のいくつかを、皆さんにうまくお伝えできたと願っています。日本の皆さんの絶え間ない発展と繁栄を祈念しています。