海外インターンシップで自分を試す
2019年夏休み、2人の大学生がそれぞれフィリピンとタイでのインターンシップに臨みました。オフィスで初めての「仕事」、ローカルスタッフ以外に職場には日本人は自分「一人」。語学留学ではない、国内インターンシップでもない、海外インターンシップを通して彼らが感じたことは何だったのか、和智さん(写真右)と笹原さん(写真左)に伺いました。
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日本人が誰もいない環境で、一人で海外に行って挑戦したい
派遣概要
派遣国・都市 | フィリピン・マニラ |
派遣先企業概要 | ①通信事業 ②ジュエリーの製造・販売 |
派遣期間 | 2019年8月(3週間) |
インターンシップ内容 | 人事部門の業務 |
自分のレベルを知りたい、そして今のうちに挫折したい
派遣概要
派遣国・都市 | タイ・バンコク |
派遣先企業概要 | 商社 |
派遣期間 | 2019年8月-9月(4週間) |
インターンシップ内容 | マーケティング部門の業務 |
AOTS大学生海外インターンシップを選んだ理由
なぜAOTSの海外インターンシップだったのですか
まず、『日本人が誰もいない環境で、一人で海外に行きたい』という想いがずっとあり、大学生の間に挑戦したいと思っていました。また、AOTSのプログラムが単位認定されるのもよかったです。AOTSの場合は現地協力機関という、現地の方が生活面でもサポートをしてくださる体制があり、安心して渡航することができました。
私は、自分自身のレベルアップのために、実践的に学ぶことができると思い、海外インターンシップを選びました。また、語学力だけでなく、仕事上で挫折をした時のリカバリー力など、自分を大学生の段階でブラッシュアップし、将来働きたいフィールドを体験しておきたいと思い参加を決めました。
海外インターンを経験して得たもの、感じたこと
現地で語学は鍛えられましたか
私は、フィリピンにいる間、ほとんど日本人にも会わず、日本語も話さない3週間でした。フィリピンでは業務で使う文書等も全て英語でしたし、受入機関の方々は英語がよくできる方ばかりでした。インターンシップを通して、学校で学ぶ英語ではなく、実践的な英語力を伸ばすことができたと思います。その点で、語学留学とインターンシップでの英語は違うと実感しました。
仕事はほとんど英語でしたが、商品に使われる専門用語(例えば「硫黄」など)やその説明方法を知らないことが多く、苦労しました。ただ、インストラクターの面倒見がよく、わからない単語だけではなく、マーケティング理論も含めて丁寧に教えていただいたので、新しい知識をたくさん得ることができました。タイ語については、同僚と会話をする中で、お昼に話す程度には理解できるようになりました。
現地の企業で仕事をして、何か新しい発見や学びはありましたか
受入機関では、ほぼ同年代のスタッフと一緒に仕事をしていたのですが、彼らがバリバリ働いていて、すごいと思いました。目の前で同年代の人が面接官として、求職者に鋭い質問をしていて、圧倒されました。彼らは大学でより実践的な面接の仕方を学んだり、勿論インターンシップにも参加をしたりしているそうです。日本ではどちらかというと理論が重要視されているので、違いを感じましたし、彼らの働き者な姿勢からいい刺激を受けることができました。
派遣先の指導担当の方からは、「外出するときは写真をいっぱい撮影して」といつも言われていました。それは、同じ対象でも自分と他人では視点が違うことを理解するためでした。例えば自分ではAをイメージして商品提案をしても、日本人である私のAのイメージはタイ人にはAとは伝わらず、Bとして伝わることがあることを学びました。
また、「A商品にはプラスティック利用が多すぎる」という環境問題に関する口コミを、インターネットで見つけました。それまで意識していなかった「環境」という視点に気づきました。プラスティック利用の多い商品に対しては、ネガティブな印象を与える可能性があるということを、知っているのと知らないのでは、ビジネス戦略も変わってくると思いました。
受入機関での業務内容(人事)
受入機関での業務は何を担当されたのですか
私は3週間で2社の人事部門でインターンシップを行いました。短期間だったからこそ、受入機関の人たちは私に実践的な業務に挑戦をさせてくれました。主に、人事評価シートや就業規則の作成や、オンラインの求人サイトの管理方法を学び、求人情報の管理をしました。
2社目では仕事を始めて3日目で、指導員から「面接官になって」と言われて、正直驚きました。
私が担当したのは店舗スタッフだったのですが、フィリピン人ではない日本人の、しかもインターンとしてきた私に、実際の面接官を頼むなんて、日本のインターンシップでは想像できないかと思います。
受入機関での業務内容(マーケティング)
受入機関での業務は何を担当されたのですか
私は4週間、タイの商社のマーケティング部門でインターンシップをしました。職場は、想像していたよりもアットホームでリラックスした雰囲気でした。業務は自分で考える必要のある、チャレンジできる環境で、日本製の入浴剤のタイでの市場調査や、パッケージのデザインを担当しました。受入機関の方から、仕事中に私自身の意見を聞かれることがよくあり、積極的にマーケティング戦略の提案もしました。
その他にも、顧客先へ営業に行ったり、国際会議にも出席させていただいたりと、語学研修や海外旅行では経験できないことができたと思います。
苦労したこと、大変だったことに対するストレス解消法
海外インターンシップではどのようなことに苦労されましたか
仕事ですごく苦労したことは、特に無かったです。ただ、オフィスで8時間座っての業務に慣れていなかったため、初めは大変でした。また、今回は人生初めての一人暮らしであり、それが日本ではなくフィリピンでしたので、まずは慣れることが重要でした。
私は、業務については日本の貿易状況や外交問題について尋ねられても自信をもって答えられず、日本のことを説明できないことに挫折を感じました。もっと日本について知る必要があると強く感じました。また、生活面での違いもストレスには感じていたので、正直、楽な環境ではありませんでした。しかし、サポートが少ない海外で、辛い状況の中でも、どれくらい自分をポジティブにできるか、モチベーションを上げられるか試すことができたのは、他ではできない体験だったと思います。
どのようにそういったストレスを解消したのですか
小さなストレスをいかに生活の中で解消してくかが重要だと思いました。お気に入りのカフェで時間を過ごしたり、気分が上がらないときは、美味しい物に少しお金を使ったり、そうしたことが大事だと実感しました。
受入機関の同僚と遊びに行ったり、ジムに行ったり、夜にプールに泳ぎに行ったりしました。タイ料理は、渡航当初は正直苦手だったのですが、インターンシップ後半には毎日大盛りを食べるほど好きになりました。
これから海外インターンシップに参加しようと考えている方へ
インターンシップを通してどういった「気づき」を得ましたか
海外インターンシップを通して、自分のレベルを知ること、そこからさらにレベルアップをすることができました。当初は、卒業後は絶対に海外で働こうと考えていましたが、日本を知らない状態で海外に行ったら、いくら英語ができても、強みがない状態で働くことになると気づくことができました。
インターンシップに行ったことで、他の学生達にも話す話題ができたので、機会があればインターンシップについてプレゼンテーションをしています。
インターンシップをしていると目の前にあるのは「仕事」なので、受身ではダメで、自分で動かないといけない状況になります。今回、自分で考えて行動すること、挑戦することができたことがとてもよい経験でした。現地へ行ってから、自分で考えて、何とかしようとすることが大事なのかもしれないと思いました。
インターンシップへのサポートやプログラムについてどのように思いますか
私はタイ渡航前がすごく忙しくかったので、査証申請についてなど、AOTSの方がリマインドしてくれたり、受入機関とのスケジュール調整などもしてくれたり、とても助かりました。そういったAOTSからのサポートのおかげで、準備がきちんとできました。インターンシップは、毎日新しい発見や挑戦があり、非常に刺激的な4週間でした。この経験は私の考え方を変える良いきっかけになりました。
私は一度体調を崩してしまったのですが、AOTS現地協力機関の方々が手厚くサポートをしてくれて、非常に助かりました。現地に頼れる人がいるのは、心強かったですし、インターナショナルSOS(*1)のサービスの存在も、親が安心してくれました。