専門家の声 ベトナム(ハイフォン)

堀米 末春 専門家
ベトナム(ハイフォン)
派遣期間:2019年6月~2019年10月
指導内容:スピーカー用振動板製造における生産性向上による省エネに関する指導

指導に関し困った点と解決方法

ベトナムのハイフォンはハノイと比較して英語や日本語が理解できる人材が少なく、もし確保できたとしても人件費が高額になってしまい、労務費のバランスや資金面で採用を断念せざるを得ません。技術者に関しても同様で、日本語や英語が理解でき、かつ技術的能力も高い人材となるとやはり同じ課題があります。

そこで弊社としては、日系企業で働く以上は基礎レベルの日本語は必須と考え、外部講師や社員による1時間30分の日本語教室を週3回開き、毎月末に評価試験を行ってきました。最終的には部門長が日本語能力の業務への貢献度を評価し、給料に反映することにより、仕事へのモチベーションを上げることができました。

集合写真

ベトナムのインフラ事情としては、他国の設備などを見たことがある人材が少ないため、新しいシステムなどへの順応性が乏しく、常に古い形式にこだわり、しかもそれが正しいと考えられているところがあります。このことは先進的な思考や発想を阻害する要因になっていると思われますが、これにはベトナム人の生活やビジネス習慣も大きく関係しているため、簡単に解決できるものではありません。

今後、ベトナムで先進的思考を柔軟に取り入れていくためには、継続的な指導と教育が必要なのではないかと思います。

現地での生活について

ベトナムの気候はとても暑く、湿度も非常に高いです。特に今年(2019年6月~8月)は雨の量が多く、道路には排水溝がないため冠水してしまい、プール状になっているのが常でした。また、粉じんや埃などが空気中に舞っており、決して体に良い環境とはいえません。一時的にでも豪雨があると空気もきれいになり、周辺の木々の色が本来の緑色に戻りますので、ベトナムで生活していく上では、適度に豪雨がある方が良いのではないかと思います。

私が最初にベトナムのハイフォンを出張で訪れたのは2009年になります。それ以降も出張で数多く現地を訪れ、2012年からは数年間を過ごした場所でもあります。当時は日本食レストランが2件ほどしかなく、仕事帰りに立ち寄る場所はそこしかありませんでしたが、現在では数え切れないほどお店が増えています。また、日本の食材店も増えてきたため、食生活に関しては困らない環境になってきました。最近では中華風やベトナム風の海鮮鍋料理のお店も新たにできており、味もそこそこなので、日本人でも口にあうものが食べられるようになってきたことはとても評価できるように思います。

人々の乗り物は自転車から電動自転車に変わり、今ではバイクが主流となっています。自動車に関しては、7年前までは主に一部のお金持ちや経営者、政府関係者などが乗っていましたが、今では一般の現地人スタッフ(課長レベル)でも自動車通勤ができるように変わってきました。その反面、仕事帰りの渋滞が増えてきていることがハイフォンでも問題となりつつあります。私の場合、運転手つきのレンタカーを契約して通勤の足にしていましたが、休日の外出はタクシーが一般的でした。

 

当寄稿は2019年11月20日発行の「AOTSメールマガジン No.105」で配信されました。