専門家の声 フィリピン(マニラ)

佐藤 淳 専門家
フィリピン(マニラ)
派遣期間:2017年10月~2018年3月
指導内容:お好み焼店における日本式の店舗管理および衛生管理に関する指導

現地スタッフの心をつかむ方法

フィリピン人は、家族や仲間を大事にし、相手を思いやる気持ちがとても強い国民性を持っていると思います。

冠婚葬祭では身内はもちろんの事、友人まで親身になって対応しますし、敬虔なカトリック信者が多い事もあり、宗教に関することを欠かさず行う姿は、日本人も見習いたい部分もあります。

仲間同士ですから気が合いますし、常に冗談を言いながらのおしゃべりが絶え間なく続くので基本的に明るい性格の方が多いように感じます。

現地スタッフの食事風景は、特に興味を持つ場面があります。一緒に食べられる状態なら皆で集まり、それぞれの食事をちょっとずつ分け合いながら、これでもかと言わんばかりの量を食べています。(勿論、食事の間もおしゃべりは止む事無く続き、笑い声に溢れています。)

そして食事後でも何故か常に何かを口にしています。聞けばお腹がすいたとの事です。見ているほうも驚くだけの量を食べてもまだ食欲があるのは、食に対する想いがそこにあるのだと思います。

店舗での指導

そこで思いついた事ですが、指導者としてハード面「仕事」で色々な指導をし、技術面を見せ付ける事で、面子は保たれていますし、素直に聞き入れてくれますが、それを揺るがない様にするには、ソフト面で「仲間」にならなければなりません。

そのためにも現地スタッフが1日の内で一番楽しみにしている「食事」を一緒にしたり、私が自宅で作った料理を持って行き食事の時間に出してあげたり、外出した際にはお菓子を買って帰って後で皆で食べるティータイムを設けたり、「食事」により更に信頼関係が生まれます。これならいい意味で現地スタッフの心を掴む事が出来ると思います。日本でも「相手の胃袋を掴む」事は、多方面で良くあることですので、何処の地域でも一緒なのだと思います。

店舗での指導

指導を振り返るスタッフたち

店舗での指導

スタッフと一緒に

現地での生活について

今回でフィリピンへの派遣は二度目になりますが、食生活等で不便を覚えた事はありません。味的にも私が好きな味付けですし、どこか日本食を思い出させる部分もあり、とても気に入っています。只、水だけは水道から出たものでも口に出来ません。(お腹をくだします。)私は必ずミネラルウォーターを飲んでいますが、現地の従業員は水道水を平気で飲んでいます。現地の人間にとっては初めからそうなのですから、当たり前な話ですね。

交通手段としては、Uber、Grabといった携帯アプリを使いタクシーを利用しています。通常のタクシーとは違いアプリだけで運用されるタクシーです。このアプリの良い点は携帯の中で乗車場所や下車場所を決められますし、料金の確認も出来るうえドライバーと話す事も無く目的地まで辿り着けるのでかなり重宝しています。しかし問題点もあり、運用当日の時間帯や近辺で大きなイベントがあれば利用者数も増え、タクシーが足らなくなり、待ち時間が長い時や料金が高額になる場合もあります。

勿論現地には通常のタクシーや路線バス、電車もあります。ジプニーという乗り合いバス、バイクタクシー、自転車タクシー、馬車など、日本では見られない色々変わった乗り物がありますが、今は乗れそうに無いので体験するのを控えています。基本的には、日本のように治安が良い場所ではありません。1歩繁華街を離れるとかなり怪しい場所が在り、その場所を通らなければ目的地まで遠回りを強いられます。昼間でもあまり通りたくない様な感じで、夜間にそんな場所を通らないようにするには、タクシーが不可欠というわけです。

気候的には、熱帯雨林地帯ですので毎日が蒸し暑い環境下です。しかし南国特有なのでしょうか、公共施設に入れば冷房が効きすぎて寒い為、常時薄い上着が必要になります。そういった意味でも日本人にとってこの環境に慣れるまで体調不良に悩まされるかもしれませんが、何処の地域に行ったとしても「住めば都」になると思います。

現地の食事

笑顔でコミュニケーション

当寄稿は2018年2月21日発行の「AOTSメールマガジン No.83」で配信されました。