『我々の製品は経済リテラシー、自立、個人事業を生み出す』 ~インドでコンサルタント業および金融業を行う会社の役員に聞く
2018年9月7日(金)10:00
(India/インド)
GATS India Ltd.
Mr. Nitin Kumar Tayal (Executive Director)
India
AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
今回は、インドでコンサルタント業および金融業を行う会社の役員にお話をうかがいました。
インド国内初の証券会社
GATS India Ltd.は、2002年に設立された同族経営会社で、現在35人の従業員を擁し、コンサルタント業および金融業を行っております。システム設計の他に、不良債権管理、債務管理、Direct Sales Agent、Forex(外貨為替取引)、旅行業、電子決済(GATS Pay)、未公開株、ビジネス文書、ディストレス投資、ファクタリングなどのサービスも提供しています。当社は、インド国内で初めて証券会社として登録された会社です。
当社の主要製品の一つにGATS Payという電子決済システムがあります。これは主に、インド国内の遠隔地に居住する人々が利用しています。現在、インドでは人口の50%以上が、銀行口座を所有していないため、このような村の人たちのためにGATS Money Kendrasというプログラムを開発しました。現在、パンジャブ州には、約12,500の村があります。このプログラムでは、地方に住む人々が銀行まで何マイルも移動することなく、銀行取引、保険、旅行、外貨為替取引などに関する50以上のサービスを受けることが出来ます。当社の製品は、経済リテラシー、自立、そして個人事業を生み出しているのです。
当社のグループ企業であるThe Gats Urban Cooperative Thrift and Credit Society Limited (GUC)は、2008年に創業しました。GUCは、銀行口座を所有しない人々に銀行取引サービスを提供しています。預金および貸付は、どちらも高金利です。GUCの13支社のうち、4支社は、地方の顧客のみをターゲットにしています。
独自のスタンダードで周知される倫理的な企業に
有能で熟練した人材を見つけることは、我々の課題です。以前は、毎月、毎四半期ごとに経営戦略を見直していました。その理由は、当社がまだ2017年に経営拡大をし始めたばかりということもあり、社員に対してプレッシャーを与えることも、この業界の事情を鑑みると、時には必要だったからです。しかし、プレッシャーと社員のパフォーマンスのバランスをとることが、今はより重要です。GATSは、優れたチームを常に維持することを重視しており、そのために尽力しています。全社員が一丸となって、会社の成長を目指しているGATSのような企業にとって、チームワークは最大の力です。人材育成をするうえで最も大切なことは、その社員チームをGATS社に結びつけることです。GATSは、チームの団結のために最高の人材を常に探していますが、これには、揺るがない忍耐力が必要となるのです。
- 社員のモチベーションを維持させるために、謝意は表し、報奨金の支払いをしています。また、階層制組織を設けています。社員は実績によって、昇進や、特別給与を受け取ることが出来ます。また、全社員は、社内外において研修を受けています。テクノロジーのように、人間も日々進歩しなければなりません。当社の最大の目的は、社員チームを成長させることなのです。
まずは、お客様に我々の会社と経営方針を理解いただき、心地よく感じていただくためには、とにかく時間が必要です。当社は、少しずつですが慎重に、そして適切に事業を拡げています。現在、インド国内には、国際レベルに認識されている企業も数多くありますが、倫理的な会社はあまり多くありません。我々、GATS社は、独自のスタンダードで周知される倫理的な会社になります。
金融市場における屈強でスムーズな変化
インドでは、2014年に、ナレンドラ・モディ氏が首相に就任して以来、経済再編に厳しく取り組んでおり、現在、特に金融業界には屈強でスムーズな変化が起きています。よって、インドのこの業界には大いに将来性があるといえるでしょう。ここで生まれている新しいテクノロジーや革新的技術をみると、さらに多くの起業家が、フィンテックあるいはテクノロジー主導のポリシーなどを持って現れることでしょう。また、巨大で、健康的で、集合的な競争が生まれ、それによってユーザーは、最も迅速で容易で便利なサービスを受けられることになるのです。さらに、インドではここ最近、金融関係の学校も次々と建設されています。
同時に、向き合わねばならない課題も存在します。フィンテックのインフラは、非常にコストが高いです。モディ首相は、屈強でスムーズなブロックチェーン・テクノロジーの導入を試みています。私は、個人的にはブロックチェーンの必要性は非常に高いと感じています。多くの先進国がすでにブロックチェーンを取り入れて業務に役立てているからです。高コストではありますが、GATSは、近い将来導入されるであろうブロックチェーンのベストな活用法を日々模索しています。
新たな習慣への適応は困難
国際市場における当社のビジネスとして、GATSは、国際金融取引を行い、それらの取引に関するコンサルティングサービスも提供しております。また、ASEAN諸国、MEWANA諸国(中東、西アジア、北アフリカ)、そしてインド半島の諸国とも積極的に協力をしています。
インドでは、様々なビジネス慣行があります。企業は、よりグローバルな体制に変化してきています。中小企業や、未組織部門は、政府の設けた基準に反する傾向があります。OEMs(Original Equipment Manufacturer:受託製造業者)として、小企業や町工場は、倫理的な作業を守ることに一生懸命です。2014年以前、インドの金融システムは国民にとって非常に容易で柔軟なものでした。しかし、モディ首相は厳密で完璧さを求めるため、金融ビジネスに携わるより多くの人々は、新たな習慣に適応することを困難ととらえています。しかし、国際市場へ足を踏み入れるためには、考え方を変え、インドで起きているこの劇的な変化を克服せねばならないのです。
GATSは、世界のブレーン国とのビジネスパートナーシップを組むことを常に求めています。ブロックチェーン・テクノロジーの発案国である日本はまさに、互いの国の利益のため我々が求めるパートナーです。
日本のICTを学び理解する
今回、AOTSプログラムに参加した主な理由は、日本企業が利用し生産性を上げた日本のICT(情報通信技術)を学び理解するためです。日本のICTは、遥か先を行っていると現時点ですでに感じました。この機会を利用し、GATS社でも真似をしていくことが出来ればと思っています。