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『デザインのルーツはスカンジナビアの大手有名デザイン会社にあり』 ~ベトナムのデザイン会社役員に聞く
2018年4月27日(金)10:00
(Vietnam/ベトナム)
Attention Vietnam Co., Ltd.
Ms. Nguyen Phi Chan (Managing Director)
Vietnam
AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。
今回は、ベトナムの合弁デザイン会社役員にお話をうかがいました。
デンマークとベトナムの合弁事業
Attention Vietnam Co., Ltd.は、デンマークとベトナムの合弁企業です。当社のデザインのルーツは、1974年にコペンハーゲンのCBD(Central Business District)にて操業を開始したAttention Denmark社という企業あります。Attention Denmark社は、今ではスカンジナビア(北欧)の大手有名企業のひとつです。2001年、当社のグローバル経営部部長であったHenrik Jeppesenが、ベトナムのホーチミン市との間に固い絆を結んだことで、ベトナム国内へ名乗りをあげることが出来ました。2011年、合理化した新しい組織づくりを目的とした当時のグローバル経営戦略にもとづいて、Attention Designが設立されたのです。当社は、ベトナム国内企業のみならず、Vinamilk、Calpis、Suntory PepsiCo、Kimberly Clark、United Pharma、NutiFood、ACBなどの海外企業にもサービスを提供しています。
今日の我々の進化力とスカンジナビア(北欧)の強力なデザインルーツによって、我々は様々な分野に挑むことができ、クライアントのニーズに応えたサービスを提供することが可能となっているのです。
前任者の偉業に敬意を払う
人は、当社が特に関心を払う最も大切な要素であると考えます。当社は、常に前任者の業績に敬意を払い、誇りに思い、サービスの質を維持し、努力し続けています。同僚と、互いを思いやり関係を強化していくことは、組織としての業績を成功に導くことにつながります。
現在、8人の専属デザイナーを含めた10人の社員で業務を行っています。社員の意欲を高めるために、職務経験別にチームトレーニングを行っています。セミナーや購買時点(POP)のケーススタディーにも頻繁に参加しています。社員は同時に複数のプロジェクトに取り組み、我々は全社員のどの意見も大切にします。私達の仕事にチームワークは欠かせません。
当社のトップ経営陣の一人として、私は、会社の取引先がさらに増え、社員の利益も確実にあがることを強く望んでいます。長期就業や会社の存続または成長につながる好業績を上げた社員には昇進という待遇が与えられます。
プロフェッショナルとノンプロフェッショナル
-会社の課題と対策を教えてください
我々は、プロのデザイン会社として、長年の経験を積み成長を遂げ成果を上げてきたことに喜びを感じています。業界は以前より明るく見えるものの、我々は下記のような課題に直面しています。
- 労働市場の飽和と競合他社の増加(デザイナー人数に対するデザイン需要の不足)
- 誰もがデザイナーになりたい(新規顧客を見つけ販売につなげ、アフターサービスに至るまでの関係維持の困難さ)
- フリーランスと正規雇用(不公平な価格やサービス競争を生み出す可能性)
皆デザイナーになりたがっています。デザインに関する(正式または非公式の)専門教育を受けていなくとも、自分のことをデザイナーと名乗る人が数多く存在します。それは彼らが専門家と同じツールを使用しているからです。プロのデザイナーとそうでないデザイナーを区別できる明確で共通した手段が特にないので、さらに市場は飽和します。当社は、証明書や過去の作品集などで違いを明確に示すことが出来ます。さらには、昔からの顧客も含めた全ての顧客に対して販売後も良好な関係をずっと維持しています。当社の顧客はほとんどが大手企業であり、彼らはプロのデザイナーと、経験の少ない才能のあるクリエーターとの違いをはっきりと認識した上で決断をくだしているのです。
日本の企業との取引を望んでいます
海外取引については、Lam Soon Singapore社(2017年初旬、シンガポールにて、Sailing Boatという料理油のデザインを考案する販売促進プロジェクトに携わる)と協働しました。その他のプロジェクトとしては、2017年7月にFromageries Bel社とBel Singapore May Campaignにおいて協働しました。
日本企業との取引に関しては、2017年初旬にCalpis Vietnamが立ち上げたプロジェクトのCalpis Teenz packaging designに携わりました。チームとしてこのプロジェクトに関われたことはとても喜ばしく、日本企業のチームリーダーやスタッフとも密接に協力することが出来ました。今後も日本企業とはさらに取引をしたいというのが本音です。
「ブランドらしさを表現する」
-会社の海外進出を成功に導くカギは何だとお考えになりますか?
海外企業との協働による経験から、我々は常に何故自分たちに声がかかったのかということを忘れないようにしています。それは、当社がベトナム国内において、経験を積み熟練した地元のスタッフを揃えたプロのデザイン組織であるからということです。我々の強みはチームワークであり、プロジェクトに対して早い段階から総動員することで、共通したアジア文化を持つ顧客企業やエンドユーザーの分析を深く行うことが可能となるのです。彼らが何を求めているのかを知り、理解しようと努めます。その上で、我が社のデザイナーの知識と技術が創り出す製品は、顧客に感動と喜びを与えるものとなるのです。
ベトナム市場の競争環境は、非常に特別です。多くのベトナム国民は、ブランドネームを購入の決め手にする傾向にあります。購入者の見識に合わせて、製品を深くリサーチし理解することが最良の製品を生み出すためには必要なのです。
ベトナムのビジネス習慣は、他の国とあまり違いはありません。「ブランドらしさを表現する」という業務モットーのもと、クライアントに潜在顧客を引き合わせることが我々の任務なのです。デザイン会社として、製品とエンドユーザーまたはターゲット顧客との調和を取りマッチさせ、購入の決断につなげるということが仕事です。それが私達の喜びなのです!
働き、成長するために良い場所
-日本の企業にどのような印象を持たれましたか?
TOTOの会社と工場、NOYES、ホンダショールームを訪問しました。どの役員の方々も常に一生懸命に仕事をされている姿を目にしました。新入社員の頃から退職するまで、全身全霊を捧げて働くのです。この姿勢には深く共感し、日本企業が成功する秘訣は正にここにあると思いました。
日本は、人が働き、成長するために良い場所です。
ありがとうございました。