経営者インタビュー

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『製品、ソリューション、市場に関する知識が常に要となる』 ~バングラデシュにてICTソリューションを提供する会社のCEOに聞く

2018年10月15日(月)15:00

(Bangladesh/バングラデシュ)

 

Richman Informatics

Mr. MD Abul Kalam Nazmul Huda (CEO)

Bangladesh

 

AOTSが提供する研修プログラムには、新興国を含む海外諸国から多くのビジネスパーソンが参加しています。対象参加者の職位は研修プログラムによって異なりますが、経営者層に向けたプログラムも提供しています。

 

今回は、バングラデシュでICTソリューションを提供する会社のCEOにお話をうかがいました。

革新的な最先端テクノロジー

Richman Informaticsは、2002年の設立以来、42人の正社員およびプロジェクトごとに臨時雇用される職員と共に、ネットワークおよびブロードバンド基盤を専門としたICTソリューションプロバイダーとしてビジネスを行っております。コスト効果の高いワイヤレスラジオリンクをバングラデシュに導入したパイオニアでもあります。当社は、革新的な最先端テクノロジーを用いた新しい製品やソリューションを提供しており、ソリューションを提供する手段やメンテナンスなどのサービスも充実しています。安定した顧客基盤の拡大と満足のいくサービスを提供することで最大限のROI(=Return of Investment:投資利益)を達成できるよう尽力しております。
 
当社が扱う主な製品とサービスは、LAN基盤、ネットワーク・セキュリティ、メールサーバ、監視カメラ、データセンター、ネットワークストレージ、ワイヤレスネットワーク管理、IPテレフォニー、PA(パブリック・アドレス)システム、コンサルティングサービスなどです。
 
当社の強みは、

-顧客のニーズに合わせた提案など倫理的なビジネス開発プロセス

-知識ベースのセールス

-常連客の満足度の高さ

-効果的なソリューション、セールスおよび事務

-IP指向型ネットワークテクノロジーを利用した専門的ソリューションの提供

バングラデシュの経済に貢献

我が社の経営方針は、プロフェッショナルで倫理的な業務を徹底しつつ、バングラデシュの経済発展に貢献することです。チームの戦力となり、チャレンジ精神に溢れ、勤勉で、成果を出すためにイニシアチブをとることを買って出るような、有望でクリエイティブな人材探しを積極的に行っています。バングラデシュでは、毎週金曜と土曜が休日として定められているのですが、私の会社では、毎週土曜は社員研修を行い、急速に変化し続けるテクノロジーに後れをとらないようにしています。
 
  • また、我が社では、実地訓練や、社員の生活を保障し社員を満足させられる報酬などを支給することで、各々のスキルを向上させる公正でポジティブな職場環境をつくり、維持するようにしています。結婚および出産手当、有給年次休暇および有給休暇、厚生年金、報奨金、祭事賞与、功労賞、定期昇給を支給しております。

海外実地研修

現在、私たちの業界のマーケットは非常に競争が激しく、また目に見えない大手ブランドの支配によって激しく変動します。この業界には、すでに販売業者を抱えた中小企業から大企業までありとあらゆる競合者が混在しています。新生ブランドや新製品には、より大きなチャンスにつながる可能性があるため、新生ブランド設立者である我々が競合者に勝つためには、製品に関する深い知識を逸早く顧客に提供する必要があるのです。
 
新たなテクノロジーや関連する様々なアプリケーションを取り入れることは、ICT業界にいる私たちにとって大きな課題なのですが、バングラデシュ国内においてこの業界は、着々と確実に成長しており、チャンスも多いためマーケットに新規参入する競合者は増える一方です。現在、市場をリードする業者が数ヶ月後には、下位に落ちている可能性もあります。顧客は、より良いサービスを安価で提供する代替業者を早急に探し、ゆえに、売上げや利益は、減少してしまうこともあります。また、この業界において有能な専門技術者の数が需要に足りていないため、企業は、より高額な給与を提示し有能な技術者の引き抜きを行ったり、基準に満たない技術者を雇うことで、存続を試みます。結果的に市場の競争は、常に健全とは言えないものとなります。
 
顧客が注文を確定するまでには長い時間がかかるのですが、一旦、注文が確定すると顧客は、納品までに要する時間に対してしびれを切らします。早急に納品を行うためには、在庫を抱える必要があり、コストがかかります。ビジネスを拡大するにあたり、長期与信も財務管理上の課題と言えます。
 
これらの課題の対策としては、市場の需要に応えながら成長しているサプライヤーとの連携は必然ですし、また状況を把握、確認し、変わらない品質と信頼のおける製品およびソリューションを適切な納期に(または競合他社より先に)顧客に提供することが必要です。
 
社員が定期的に研修を受けられる機会を作り、人材を育成し、新テクノロジーや市場動向のアップデートを常に行わせることも、一つの対策です。我が社の社員には、海外で実地研修を受けさせています。90%は台湾で、10%は中国においてです。また、ソーシャルメディアなど最新のマーケティングツールを利用して、当社に対する顧客の認知度を上げ、関係を維持していくということを常に意識せねばなりません。顧客に対する規律正しいアプローチと、きめ細かなサポートサービスが重要です。

海外製品の独占輸入販売

国内のサプライヤーとソリューション販売契約を結ぶことは、あまりにも競争が激しくコストも高いため、当社は、海外企業5社と独占輸入販売契約を結んでいます。ほとんどの海外パートナー企業とは、10年以上の付き合いになります。我々が2010年に契約をしたSAFENETというブランドがあり、これはパッシブタイプの製品(ラックやLANケーブル)を扱っているのですが、常に高品質を保ち他社製品との違いを感じられる製品です。我が社で提供する製品のほとんどは、海外からの輸入品ですが、それは、時間通りにソリューションを調達しプロジェクトを管理したいということと、販売前後のサポートも徹底して行いたいという目的のためです。プロジェクトによっては、国内生産の製品を扱うこともありますが、数は少ないです。
 
海外取引をする上では、複合的なメソッドと大胆なプロセスが必要となります。ターゲットとなる市場、競争力、現在の現地市場動向、戦略を把握することは、海外ビジネスを行う上で原動力となります。成功に導くカギとなるのは、
  • 販売する製品を決定するための市場のセグメンテーションと規模の分析、現地での将来性、ブランドを立ち上げる期間などの判断
  • 現地市場の受け入れ状況に対する製品およびソリューションのギャップ分析
  • 他社製品と比べてインパクトのある差別化
  • SWOT分析-製品、料金、現地企業
  • 現地向け戦略および現地企業を成功に導くビジネスプランの考察と展開
  • 深い専門的知識、経験、リーダーシップに富んだ上層役員
  • 組織力のある企業、顧客にとって利益となる競争力あるサービスと、社員にとって満足のいく競争力ある補償制度

台湾製品を選択

私の兄の会社は、1968年に日本の富士ゼロックス社と、1972年にはコニカ社と販売契約を結んでいました。私の家族は、日本製品の品質、日本企業の責任感の強さと誠実さがとても好きでしたので、日本企業と仕事が出来ることをとても喜んでいました。ですから、私が2002年にビジネスを立ち上げた時も、私は日本企業と取引をして彼らの製品を販売することを望んでいました。しかし当時、私は、日本のITが進んでいるのかについて確証が持てなかったのです。よって、代わりに台湾企業をビジネスパートナーとして選びました。しかし今では、新しいパートナーとして日本企業を探しています。
 
この新興業界においてテクノロジーとアプリケーションは、急速に変化を遂げています。将来的に強化や検討が必要なビジネス分野は、以下です。
  • クラウドコンピューティング/バーチャライゼーション(インフラ)
  • データセンターインフラ
  • 情報セキュリティ
  • 企業および産業のためのIoT
  • 教育施設におけるデジタルラーニングシステム

 

まずは、当社サイト(www.richman.com.bd)をご覧になって、当社の専門性や技術と共に、業務の分野、活動の範囲、可能性などご参考いただき取引をご検討ください。

 

バングラデシュのビジネス慣行について言うと、日本と同じく時間を守ることはとても大切ですが、個人同士の付き合いやソーシャルネットワークもまた、非常に重要です。製品、ソリューション、市場に関する知識が常に要となるのです。大抵、顧客は真に欲していることを、明確に伝えることが出来ません。専門家は、顧客が本当に探しているものを察し、いかに製品やソリューションが顧客のニーズに応えるのかを解析できなければなりません。

テクノロジーの内側にある情報

顧客との距離が非常に近い場合、最も重要なことはテクノロジーの内側についての知識や情報を持っていることです。我々は、ソリューションを販売する会社だからです。
 
日本のオートメーション化は、とても進んでいます。今回、AOTSのプログラムに参加した目的は、日本企業において現在どのようにICTが有効活用されているかを知ることと、いかにして品質の高い、信頼できる有意義なソリューションを提供し、今日のビジネス環境の需要に応え、将来も競っていくのかを知るためです。
 
ありがとうございました。