川鍋 賢治郎 専門家
フィリピン(セブ)
派遣期間:2019年9月~2020年3月
指導内容:自動車ドア開閉用部品製造における生産ラインの改善、構築による省エネ化に関する指導
現地スタッフとのコミュニケーション
フィリピンの言語というと英語・タガログ語と思われる方も多いかと思いますが、セブ島では日常、ビサヤ語が主流です。年配層ではまったく英語を話せない人もいます。
私も稚拙な英語でしか会話できませんでしたが、最近ビサヤ語と日本語の混じった、さらにおかしな英語で意思疎通を図っています。日本人同士の会話でも話し手の意思を100%伝達できることはありませんので、現地のスタッフには「こちらの意思が伝わっていないのでは」、と不安を覚えることもしばしばありました。
そんな状態でも同じ目的で仕事をしていく中でだんだんと相手のことがわかってきますと、日本語、タガログ語、ビサヤ語混じりの不思議な英語でもなんとなくコミュニケーションがとれるようになっていきました(笑)。要するに、お互い相手のことをよく知り、表情を読み取りながら会話をすることが肝要であることを改めて感じた次第です。文化・歴史・考え方の違う相手とのコミュニケーションですからなおさらです。
セブからの視点で日本を見ると、メールに頼る現代日本の、特に若年層のコミュニケーションのあり方に疑問を感じてしまうこともあります。
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ローカル幹部との協議
現地での生活について
フィリピン人はお祭りが大好きだと聞いておりましたが、本当に現地の人たちはダンスと歌が大好きで、毎月のようにイベントが行われています。南国特有の陽気な気質によるものでしょうか、日常的に街中で若者中心に練習が行われ、交通渋滞の一因にもなっています。
中でもフィリピン最大級のお祭りとも言われ、毎年1月にセブ島で開催されるシヌログ祭り(Sinulog Festival)は特に有名です。私も今回初めて参加させてもらいました。現地では治安に注意を払うようにという忠告を受けましたが、セブは観光地であるせいでしょうか、私は危険を感じたことは2度の派遣経験においてありませんでした。このお祭りでも同様です。タクシーの一人乗りもまず安心して利用できると感じています。当然のことながらTPOはわきまえる必要がありますが。
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シヌログ祭り(Sinulog Festival)にローカル従業員とともに参加
社会環境・安全・衛生・利便性を日本と比較することには無理がありますが、アバウトな暮らしの中にも潜在的な可能性をもつセブ(フィリピン)に深く郷愁を感じるのは、高度成長期に私が10代を過ごしたからでしょうか。
当寄稿は2020年6月24日発行の「AOTSメールマガジン No.110」で配信されました。