AOTS海外労働関係情報メールマガジン 第154号

Contents

インド(第154号)

インドの製薬企業の活動について
インドの製薬企業の規模
コロナ渦での経験
企業経営環境

 

インドの製薬企業の活動について

インドの製薬企業の規模

インドの製薬企業が、世界のあらゆる市場で重要な役割を果たしていることをご存知でしょうか。
インドの製薬企業は、主要製品であるジェネリック医薬品を世界中に供給しています。
ムンバイに本社を有するA社は、売上高約数千億円。従業員数万名を要する世界有数のジェネリック医薬品メーカーに成長し、アメリカの証券取引所にも上場しています。
同社の売り上げの約半分はアメリカからのものですが、日本でも医療費節減のために、ジェネリック医薬品が積極的に使われるようになってきていることから、日本は、インドの製薬企業にとって、重要なマーケットとなってきています。

コロナ禍での経験

同社では、インド他州からの出稼ぎ労働者を多数雇用していますが、コロナ禍の最中には、多くが帰郷してしまい、安定的な操業に大きな困難が生じました。このため、出稼ぎ労働者の出身地に人事担当者が直接足を運んで、職場への復帰を説得したり、操業のために担当作業員をより小さなグループに細分化して密を防ぎ、グループごとに交代で自主待機期間を取るといった工程の見直しによる安全対策の強化を行って、従業員の理解や協力を求め、操業を維持しました。また、社外に対しては、酸素ボンベやマスクなど、自社のリソースを無償提供するなどして、地域社会に貢献しました。地域への貢献は、創業者の社是でもありますが、コロナ禍のなかでの貢献が政府にも認められ、結果として、企業の認知度や評価を一層高めることにつながりました。

企業経営環境

アメリカはジェネリック薬品の世界最大の消費地ですが、アメリカ食品医薬品局(FDA)からは、インド製薬メーカーに対し、継続して警告文書が発せられています。コロナ禍が収束し、実地による企業監査に基づく指摘が頻繁になっています。メルマガ読者の方々にも、インドの衛生環境に不安をお持ちになる方がいらっしゃると思います。しかしこれらの警告を契機に、製薬企業は、製薬工程における重要なドキュメンテーションの整備や、品質管理に一層注力していて、製品の安全性や信頼性の向上が図られています。

ジェネリック薬品業界は競争がたいへん厳しく、高い品質を維持しつつ、コストを下げることが求められています。困難な課題を克服するため、従業員のスキルやモチベーション向上など、人事面での役割はますます大きく、日本でのセミナーで得た知識が同社でも大いに役立っているそうです。